SCP-1475-JP(紹介)

―快適な空の旅をお楽しみください―

 

皆さんは飛行機に乗ってどこかに行った、なんて経験はあるだろうか。

荷物の持ち運びや飛行機の予約、空港ないし飛行場への移動に搭乗手続きなどなど、なかなか面倒事が多く、少なくとも電車やバス程にお手軽なものではない。

 

だが、飛行機は遥か上空から地上を景色として楽しむことのできる唯一の交通機関だ。

それを目当てに飛行機に乗る人もいるかもしれない。

 

そんな人に面倒事を無くしてより景色を堪能できる新たな移動手段がある、と言ったら間違いなく飛びつくだろう。

 

ただ、その移動手段をもう一度使いたい!という気持ちになるかは微妙だが…。

 

 

 

SCP-1475-JP

オブジェクトクラス:Safe

SCP-1475-JPは、背もたれの部分に「Welcome to America」と彫られた、日本産のスギの木でできている椅子である。

現時点では13脚が財団によって回収・収容されていて、そこまで脅威にならないと判断された物品を保管するロッカーに入れられている。

ちなみに13脚にはそれぞれSCP-1475-JP-1からSCP-1475-JP-13と番号を付けて管理されているが、SCP-1475-JP-13だけは実験に使ってはいけないということになっている。

 

また、実験する際には

・一定の権限を持つ職員2人から許可を貰い

・必ず屋外で行い

アメリカのノースカロライナ州にある財団サイトに連絡し

・規定の場所に待機するようお願いする

という手続きをしなければならない。

 

さて、SCP-1475-JPの異常性だが、遠いノースカロライナ州に連絡を入れなければならない事にも関係する。

 

SCP-1475-JPに人間が座ると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SCP-1475-JPが、座った人間を爆発音とともに超スピードで射出し、ノースカロライナ州着弾させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

何これ…

 

 

一応異常性の詳細な説明としては

①人間が座る。

②異常性スタート。SCP-1475-JPと座った人間は傷つけることができなくなる。

③座ってから3分後、座った人間が小刻みに震えだし、5秒後に前方45度の角度で射出。

という細かいプロセスがあるようだ。

 

ちなみに座った人間はぶっ飛ばされている間も意識があり、通信機があれば会話も可能。しかも物体をすり抜けられるようになるそうな。

そして射出から2時間16分ほどしてノースカロライナ州に着弾することになり、ぶっ飛ばされた人間は着弾して3秒ほどで傷つかなくなる無敵タイムが終了する。あとなぜか着弾によってクレーターができない。運動エネルギーがどこかに消えてしまっているようだが、詳細は未だにわからない模様。

 

わからないといえば「なぜノースカロライナ州に着弾するのか」も不明。一応着弾点付近は調査したらしい。

 

 

SCP-1475-JPは警察への「爆発とともに浮浪者が消えちまった!」という通報に興味を持った財団がエージェントを派遣したことで発見された。

そして派遣されたエージェントがあろうことかSCP-1475-JPに座ってしまったことで、ついでといわんばかりに異常性も発覚した。

ちなみにこのSCP-1475-JP、ぶっ飛ばされた浮浪者によれば「粗大ゴミとして捨てられてた」とのこと。

(※目撃した方と当事者の浮浪者の方には素敵なプレゼントとして財団の記憶処理が行われ、きれいさっぱり忘れてもらいました)

 

さて、このSCP-1475-JPも色々と実験されている。

少し長いが全て紹介しよう。

 

実験①

実験室内でDクラス職員をSCP-1475-JP-1に座らせる。

結果

射出後、Dクラス職員は実験室の壁に激突して一度静止。激突から20秒後に壁を通り抜けて再び飛んでいき、難なくノースカロライナ州に着弾。

障害物を通り抜けられることが分かったが、次からは屋外で実験をやることに。

 

実験②

屋外でDクラス職員に通信機とGPSを取り付け、SCP-1475-JP-2に座らせる。

結果

GPSは問題なく機能し、太平洋上を飛んでいることが判明。

ただ、「飛んでる」「さむくない」「速い」以上の情報は手に入らなかった。

ちなみに実験①の時の着弾地点にほど近い地点に着弾した模様。

 

実験③

Dクラス職員を一度沖縄に輸送してから、屋外でSCP-1475-JP-3に座らせる。

結果

問題なく着弾。

かかった時間に大きな変化はなかった。

 

実験④

Dクラス職員とSCP-1475-JP-8をノースカロライナ州の着弾地点に輸送してから、SCP-1475-JP-8を座らせる。

結果

Dクラス職員、真上に発射。

2時間32分後、Dクラス職員はSCP-1475-JP-8の上に着弾。

Dクラス職員、そのままの勢いで真上に発射。

2時間12分後、Dクラス職員を回収。

これにより、射出場所問わず同じくらい滞空することと、SCP-1475-JPの上に着弾すると連続で射出されることが判明した。

5時間弱も飛ばされたDクラス職員が少し気の毒。

 

実験⑤

Dクラス職員とゆかいなどうぶつたちをそれぞれSCP-1475-JP-1~SCP-1475-JP-10に座らせる。

結果

Dクラス職員だけが射出。

どうぶつたちには変化がなかった。

 

実験⑥

Dクラス職員3人をSCP-1475-JP-6に座らせる。

結果

全員難なく射出。

 

実験⑦

Dクラス職員3人をSCP-1475-JP-1~SCP-1475-JP-3に同時に座らせる。

結果

全員同時に射出。

そして同時に着弾。

あとなんか楔形の隊列組んで飛んでったとか。

 

実験⑧

財団のゴミ捨て場から新たに発見されたSCP-1475-JP-13の異常性を確認すべく再び実験。

やり方は実験②と同じだったが…

結果

飛行中に白い鳥らしきものにぶつかりGPSを喪失。

無事ノースカロライナ州に着弾した…と思われた。

 

Dクラス職員「あれ。誰もおらんぞ」

なんと連絡を入れたはずのノースカロライナ州の財団の職員がいないと言うのだ。

これには財団の研究員は大慌て。不測の事態を想定し、緊急で電報を送らせるなどてんやわんや。

 

と、Dクラス職員、何かを発見。

Dクラス職員「あ。標識があるぜ。確認した方がいいか?」

研究員が確認させると―

 

Dクラス職員「おい!ふざけんじゃねえぞ!話が違う!!」

 

Dクラス職員「ここサウスカロライナじゃねーか!!!」

 

 

・・・。

 

えぇ…。

 

 

その後色々調べてみた結果、どうやらSCP-1475-JP-13だけは2%でサウスカロライナに、1%でウェストバージニアに着弾するらしく、他の地点にぶっ飛ばれては困るので、これ以降SCP-1475-JP-13の使用は禁止となった。そりゃそうだ…。

 

 

 

SCP-1475-JP

標的はノースカロライナ